HIV感染被害者遺族等に対する健康被害等の対応に係る調査研究会報告書
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1.はじめに
(1)厚生労働省と東京・大阪HIV訴訟原告団(以下「両原告団」という。)とは、被害者救済のための恒久対策について数次にわたって定期的に協議を続けてきており、これまでの協議の結果、血液製剤によるエイズ患者遺族等のための相談事業等(以下「遺族等相談事業」という。)を、平成9年度から国の補助金により実施し、以後、その充実を図ってきているところである。
(2)このような状況の下、平成15年7月11日に開催された両原告団と厚生労働大臣との定期協議の際、大阪HIV訴訟原告団とはばたき福祉事業団、並びに東京大学と大阪市立大学を中心とする研究者とで構成された「薬害HIV感染被害者(遺族)生活実態調査委員会」が実施した被害者遺族への実態調査の結果、遺族の55.2%に心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われることが報告された。このことに対し、和解協議からこれまでの流れの中で一体何ができるかということについて考え、遺族等相談事業の中でどうするかといったことも検討項目の一つになり得るということをまえて、両原告団と厚生労働省の担当者との間で話し合いを行うことを確認し、厚生労働省は、平成16年度予算で、新たに「エイズ患者遺族等相談事業」の中に、遺族のPTSD等の健康被害対策に関する検討に係る補助金を計上した。
(3)これに伴い、財団法人友愛福祉財団の行う事業として、「HIV感染被害者遺族等に対する健康被害等の対応に係る調査研究会」(以下「研究会」という。)が、平成16年6月に設置された。これは、上記の経緯を踏まえ関係者等との協議の下、HIV感染被害者遺族等や医療・保健・福祉等の専門家等により構成され、HIV感染被害者遺族等に生じている健康被害の把握とともに、当該健康被害への根本的な対応策等について研究することを目的としたものである。
(4)研究会は、国立精神・神経センター 精神保健研究所 成人精神保健部の金 吉晴 部長を座長に、計12名の委員で構成され、平成16年6月から平成17年11月まで計8回の会合を開催して、逐次研究を行ってきた。今般、その研究成果を取りまとめたので、ここに報告する。

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